こんばんは!
紹介した TSI寒天培地の
反応について 記事を書きます!!
僕は始めて この反応を 見たときに
同じ 成分の培地なのに
何で 斜面部と 高層部の色が
違うんだろう??
って 疑問に思いました!
※培地 (対象とする 微生物を
増えやすく するための栄養)
※斜面部、高層部 (イラストを見て)
と言うことで
今から 原理を 説明します!
まずは 培地の成分なんだけど
TSI 寒天培地には
(TSI:Triple Sugar Iron)
その名の通り「3 種類の糖」が
含まれています!
トリプル・シュガーだけに・・・
3 種類の糖・・・
なるほど(笑)
ちなみに 3 種類の糖は
①ブドウ糖
②乳糖
③白糖 だよ!!
実は・・・
この 3 種類の糖に 秘密があって
ブドウ糖が 0.1 % の分量なのに
乳糖と白糖は 1 % の分量になるように
配合されて いるんです(驚)
※ブドウ糖だけ少ない(1 / 10 の量)
ここで 思い出して 欲しいんだけど
確認培養のときに 高層部に
白金耳を 穿刺してから
斜面に 図線塗抹したよね??
そして・・・
35 ℃ ± 1 ℃(34 ~ 36℃)で
24 時間 ± 2 時間(22 ~ 26 時間)
培養するんだけど
このときに 小試験管の中で
微生物が 3 種類の糖を 分解します!
ただ・・・
サルモネラは 乳糖(1 %)と
白糖(1 %)を 分解しないので
培地に含まれる ブドウ糖(0.1 %)を
早い段階で 使い切って しまいます!
他の糖に比べて
量が少ないもんね・・・
なので まずは培地が
斜面も 高層も 黄色になります!
培養後(約 12 時間 以内)
※糖を 分解する過程で 微生物が
酸を産生するため 培地のpHが
酸性に傾き 黄色になる!
ここから更に 時間が経つと・・・
(約 18 時間)
次は 培地に含まれる
「ペプトン」という 成分を
分解し 始めます(汗)
この過程で アンモニアが 産生され
培地のpHが 酸性から アルカリ性に
傾きます・・・
すると!
培地の斜面部が 黄色から
赤色に 変化します(驚)
※培地の色が 変わるのは
フェノールレッドっていう 成分が
含まれているから 酸性では黄色
アルカリ性では 赤色になるんだよ!
じゃあ何で 高層部は
赤色にならないの?って
思うよね??
それは・・・
斜面に 図線塗抹した サルモネラが
空気がある環境で 活発に動き
ブドウ糖を早く 分解してしまうことと
物理的に 斜面よりも 高層の方が
培地の分量が 多いことが
関係してるんだ!!
だから 48 時間 以上 経つと
高層部も 斜面部と 同じように
赤色に なるんだよ!
ちなみに 乳糖を分解する
大腸菌を 同じ条件で 同じ時間
培養すると・・・
こうなるよ!!
乳糖は ブドウ糖の 10 倍あるから
短時間では 分解できないんだ!
余談ですが サルモネラだと
高層部が 黒く なっているのは
硫化水素を 産生しているからだよ!
※大腸菌は 産生しないよ。
あっ!硫化水素を 産生してるから
高層部は黒く なってるけど
光にかざすと
黄色になってることが
ちゃんと確認できるから
安心してね!!
最後に もう 1 回おさらいするよ!
【ブドウ糖だけを分解】
斜面:赤色 高層:黄色
【乳糖 or 白糖だけ or 両方を分解】
斜面:黄色 高層:黄色
※ただし!ブドウ糖非発酵の「Acinetobacter」など、
培養時間によっては「斜面:黄色 高層:赤色」になるケースもあるよ。
【糖を 分解しない】
斜面:赤色 高層:赤色
こんな風に 培地の成分で
菌を特定していくことが 出来るんだ!
だから僕らは 調べたい菌によって
使い分けて いるんだよ!!
微生物の検査も 奥が深いよね~!
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まだまだ!
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